
対面販売と非対面販売の違いは?メリットや対面接客の基本・コツを解説
店舗やサービスの形態が多様化する中で、「対面販売と非対面販売のどちらを重視すべきか」と迷う方は少なくありません。特にコロナ禍以降は非対面販売のニーズが急増し、接客スタイルの見直しを迫られた企業も多いでしょう。しかし、対面販売ならではの強みもあり、業種や顧客層によって適した販売方法は異なります。
当記事では、対面販売と非対面販売の違いを分かりやすく整理し、それぞれのメリット・デメリットや事例を紹介します。さらに、対面での接客に求められる基本マナーや、顧客に好印象を与えるための接客術など、よりよい顧客体験を実現する方法も解説します。
目次[非表示]
対面販売(対面接客)と非対面販売の違い
販売方法には、スタッフがお客様と直接対話する「対面販売」と、オンラインなどを活用して接客を行わない「非対面販売」があります。ここでは、それぞれの特徴や違いについて説明します。
対面販売とは
対面販売とは、販売員がお客様と直接向き合いながら商品を提案・販売する方法です。接客を通じて購入の相談に乗ったり、的確な商品説明を行ったりします。百貨店やアパレルショップなどの店舗販売や接客業をはじめ、展示会・イベントでの説明販売、訪問販売など、多様なシーンで実施されています。
対面販売はお客様と直接対話する中で細かなニーズに対応できる一方で、販売員には豊富な商品知識や丁寧な応対力が求められます。セルフ販売と異なり、対面販売では販売員がカウンター越しやお客様のそばでサービスを提供する点が特徴です。また、お客様の横に立って商品を販売する手法は「側面販売(側面接客)」と呼ばれます。
▶ 質の高い接客を実現するツール「iPhone接客支援サービス」の詳細はこちら
非対面販売とは
非対面販売とは、販売員とお客様が直接対面することなく、商品やサービスを提供する方法です。代表的な例として、ECサイト・アプリでのオンライン販売・オンライン接客や、飲食店のタッチパネル注文、デリバリーサービスなどが挙げられます。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に急速に普及し、オンライン接客導入の動きは活発化しました。現在ではBtoCに限らず、BtoBの取引にも広がりを見せています。
非対面販売の背景には、訪問の手間を省き効率的に営業や販売などの業務を行いたいというニーズがあります。ビデオ通話によるリモート商談やインサイドセールスなどの営業スタイルもその一環であり、営業範囲を全国や海外にも広げやすくなる点が特徴です。
対面販売のメリット・デメリット
対面販売は、販売員がお客様の表情や反応を直接読み取りながら対応できる点が大きなメリットです。個々のニーズに合わせた柔軟な提案ができるため、信頼関係の構築にもつながります。また、対面でのやりとりを通じて得られた経験やノウハウは社内で共有しやすく、教育面でも効果的です。
一方で、対面販売には「人件費がかかる」「営業可能な時間・場所に制約が生まれる」といったデメリットもあります。多くのお客様に同時に対応することは難しく、効率性の面では非対面販売に劣る場面もあるでしょう。
▶ 質の高い接客を実現するツール「iPhone接客支援サービス」の詳細はこちら
非対面販売のメリット・デメリット
非対面販売は、時間や場所を選ばず顧客情報をもとに対応できるのがメリットです。ECサイトやリモート営業の活用などにより販売効率が高まれば、人件費や移動コストの削減にもつながります。また、感染症対策としても有効で、販売の敷居が低くなる点も特徴です。
一方で、ビデオ通話サービスなどのシステム環境の整備が必要で初期投資がかかるほか、専門性の高い商品やきめ細やかな接客が求められる場面には不向きなこともあります。直接顔を合わせないためにお客様の温度感がつかみにくく、信頼関係の構築に時間を要するケースもある点はデメリットです。
非対面販売の事例
非対面販売には、ECサイトの開設やAmazon・楽天といったモール型通販への出店、飲食店のデリバリー対応やタッチパネル注文、自販機や券売機の導入など、業種や商材に応じた多様な方法があります。ここでは、非対面販売の具体的な事例を2つ紹介します。
住友不動産株式会社|リモート・マンション販売を導入
住友不動産株式会社では「リモート・マンション販売」を導入し、情報収集から契約、引き渡しに至るまでの各工程をオンラインで完結可能にしました。これにより、外出が困難なお客様でも自宅からモデルルーム見学やローン相談が可能となり、新たな顧客層の獲得につながっています。
(参考:住友不動産「『リモート・マンション販売』を導入」/https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/20200601_release_remote-mansion.pdf)
株式会社ゼニスアンドカンパニー|非対面による酒自動販売機を製作
株式会社ゼニスアンドカンパニーは、年齢確認機能を備えた酒類自動販売機を製作しました。ホテルやレジャー施設などで時間指定による酒類販売を可能にするなど、ニーズに応じた柔軟な非対面販売の形を展開しています。
(参考:株式会社ゼニスアンドカンパニー「酒自販機 製作所 コンセプト」/https://www.zenith-zc.com/%E9%85%92%E8%87%AA%E8%B2%A9%E6%A9%9F/sakejihanki/)
対面接客における基本マナーと心得
対面接客では、第一印象や振る舞いが顧客満足に直結します。ここでは、接客の質を左右する基本マナーと心得について、具体的なポイントごとに紹介します。
笑顔・表情
対面接客において自然な笑顔は顧客に安心感や親しみやすさを与え、店舗全体の雰囲気を明るくする力があります。一方で、無表情や不機嫌な顔つきは近寄りがたい印象を与え、顧客満足を損なう原因になりかねません。マスク着用時でも、目元の表情や声のトーンで笑顔の印象を伝えることが大切です。
ただし、場にそぐわない笑顔や不自然な作り笑顔はかえって不快感を与えることがあるため、TPOに応じた表情を心がける必要があります。対面接客では、お客様と信頼関係を築くことが基本です。その第一歩として「自然で穏やかな笑顔によるコミュニケーション」を常に意識することが求められます。
丁寧な言葉遣い
対面接客では、たとえ相手が年下でも、敬語を適切に使わなければ、不快感を与えかねません。反対に、あまりに丁寧すぎると慇懃無礼に感じられることもあるため、対面接客業務においては相手との距離感や店舗の雰囲気に合わせた話し方を意識することが大切です。
また、「○○になります」「○○円からお預かりします」といった接客でよく見られる誤った言い回しにも注意が必要です。言葉遣いはその人の品位や店舗の印象にも直結するため、接客用語や敬語の正しい使い方を身に付けるようにしましょう。
身だしなみ
対面接客において、清潔感のある外見は信頼感や安心感につながり、自然と店舗全体の印象も向上します。髪型が乱れていないか、服にシワや汚れはないか、靴は磨かれているかなど、細部まで丁寧に整えるようにしましょう。
また、化粧や香水の使用、ネイルや爪の長さにも注意が必要です。基本的には、店舗の雰囲気や接客の場にふさわしい控えめで清潔感のあるスタイルが好まれます。特別なおしゃれをする必要はありませんが、TPOに合わせた整った身だしなみは好印象につながるでしょう。
▶ 質の高い接客を実現するツール「iPhone接客支援サービス」の詳細はこちら
対面でお客様に好印象を与える接客のコツ
基本的な接客マナーを身に付けたら、次はお客様により深い満足感や信頼を与えるための応用的な接客スキルが求められます。ここでは、対面で好印象を与える3つの接客のコツを紹介します。
・お客様と適切な距離感を保つ
お客様には、積極的な声かけを好む方もいれば、静かに買い物をしたい方もいます。すぐに話しかけず、まずは少し離れて様子を見守る姿勢が大切です。必要に応じてすぐに対応できるよう、自然な距離感を意識しましょう。
・お客様の立場になって考える
お客様の年齢や来店目的、誰と一緒にいるかなどを観察し、その状況に合った対応を心がけることで、より的確なサービスが可能になります。商品選びに迷っている様子があれば、そっと提案するなど、おもてなしのある接客が信頼につながるでしょう。
・マニュアルから一歩踏み込んだ接客をする
マニュアルに沿うだけでなく、その場の状況に応じた気配りがお客様の印象を左右します。たとえば、雨の日の来店には「お足元の悪い中ありがとうございます」と声をかけるなど、心配りのある言葉を添えることで、記憶に残る接客になります。
▶ 質の高い接客を実現するツール「iPhone接客支援サービス」の詳細はこちら
まとめ
対面販売と非対面販売は、それぞれに強みと弱みがあるため、業種や顧客ニーズによって適した使い分けが求められます。対面販売ではお客様との信頼関係の構築や丁寧な対応による満足度の向上が期待できる一方、人手や時間といったリソースに制約がかかります。
一方、非対面販売は効率性や利便性に優れていますが、関係構築や細やかな対応には限界があります。どちらの販売方法においても、現場での接客力を高めるには、まずはマナーを見直し、お客様の立場に立った対応を心がける必要があります。自社にとって最適な接客スタイルを構築し、顧客満足度向上と業務改善につなげましょう。